コロナはまだ収束していないと言える、明白な3つの理由

2020年3月13日に成立した新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく措置として、緊急事態宣言が同年4月7日東京、神奈川、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県に出され、同4月16日にその対象が全国に拡大しました。

緊急事態宣言では、多くの人が集まる施設の使用制限の要請や指示などができるようになり、全国的に店や施設は一時的に閉鎖されました。

それ以外にも、会社でリモートワークが導入されたりと、社会全体的に自粛ムード、ステイホーム期間となりました。

そんな緊急事態宣言も5月14日には8都道府県(北海道、東京、埼玉、千葉、神奈川、大阪、京都、兵庫)を除く39県で解除され、5月21日には大阪、京都、兵庫の3府県が、5月25日には首都圏1都3県及び北海道の宣言を解除し、1ヶ月半に及ぶ緊急事態宣言が解除されました。

しかし、緊急事態宣言が解除された現在(執筆時6月)でも、毎日新規感染者は計数されており、多い日には40人以上が新規感染している状態です。

日本を含む北半球の私たちからすると冬に蔓延し始めたコロナウイルスですが、南半球(季節が北半球と逆)でも蔓延しているところから推測すると、季節性とは言い難い可能性があるので、まだまだ予断は許されない状況であるのは変わりありません。

ワクチン開発が世界中の各国で急がれていますが、早くても2021年以降の普及だろうと考えると、あと1波もしくは2波は襲来する可能性が十分にあるわけです。

今回は、コロナウイルスに関して、宣言解除されても安心してはいけない3つの理由をお伝えします。

理由① 日本では思ったよりも無症状感染者数が少なかった可能性がある

無症状感染者というキーワードをよく耳にした方も多いのでは無いでしょうか。

自覚症状が無いのにも関わらず知らずの内に感染しており、他の人に感染させてしまう可能性があると言われるコロナウイルス。

確かに、統計を見る限りだとこの無症状感染者というのは一定確率でいたと思われます。

私自身、以前までは「多くの人が感染しており、症状が現れてPCR検査を受け陽性となり、感染者として計上されている人はほんの氷山の一角」だと考えていました。

知らずのうちに多くの人が感染していて、実はすでに抗体や免疫を持ってしまっているのでは無いかと。

それは理想であり、願いでした。

ですが、昨今の抗体検査の結果を見る限りだとこれは間違いだったと打ちのめされました。

とある調査では、アメリカ・ニューヨーク12.3%スウェーデン・ストックホルム7.3%が抗体を持っていたことがわかりました。
隔離や自粛などを行わず、集団免疫獲得を目指したスウェーデンさえも低水準なことに驚きです。

また別の調査で、スペインとフランスの研究では住民の5%しか抗体を持っていないことがわかりました。この2つの国では約3万人の犠牲者が出ているのにも関わらず。

アメリカはカリフォルニア州サンタクララ郡で行われた調査では、同郡の住民2.5%〜4.2%が抗体を持っていると推定されており、ロサンゼルス群の研究でも2.8%〜5.6%となっていました。

別の機関が行なったアメリカ・ニューヨーク州の検査では住民の13.9%がウイルスに感染したことがわかり、抗体の保持率は21.2%と高めで出ています。

このように各調査機関や対象の人によって結果にバラツキはあるものの、集団免疫に必要な50%から70%というハードルには程遠い数字が羅列されています。

 

ちなみに、日本でも6月初旬に同様の調査が行われています。

厚生労働省が6月16日、3都府県(東京都、大阪府、宮城県)で合計7950人を対象に実施した抗体検査の結果を発表しています。

抗体陽性率は東京都0.10%、大阪府0.17%、宮城県で0.03%となりました。
(宮城県は6月19日現在で累計感染者数がゼロにも関わらず、0.03%だったと言うことは興味深い数字ですが)

人数としては、東京都では1971人中2人(0.10%)、大阪府では2970人中5人(0.17%)、宮城県では3009人中1人(0.03%)となります。

この検査で判明した抗体も、2回目以降の感染に効果を発揮する抗体かどうかは別となります。

 

諸外国の抗体保持率と比べても分かるとおり、日本の抗体保持率はおそらくかなり水準は低いです。

今回はたまたま、島国という特徴や、マメで清潔な国民性からくる習慣的な防衛能力があったとか、なんとでも理由は付けられるでしょうが、日本ではほとんど感染が普及していないことが伺えます。

と言うことは、国民全員が今後も感染防止に注意しなくてはいけない、まだまだ安心できないと言うことになります。

理由② ワクチンが未完成

2020年6月17日、大阪府の吉村知事が会見を開き、府内の大学などと連携して開発を進めている新型コロナウイルスのワクチンの実用化に向けて6月30日から医療従事者を対象に治験を行うことを明らかにしました。

吉村知事はメイドインジャパンのワクチン完成が近いことを示唆しており、非常に希望に満ち溢れた素晴らしいステップだと思います。

しかしながら、世界的には人体への治験はすでにスタートしており、日本国内の人体への治験スタートは今回が初とは言え世界的に見ると早いわけではありません。

また、このワクチンが成功したとしても、全国民に行き渡るには半年以上かかってしまいます。

日本国外でワクチンが完成した場合、自国民への供給を優先させるでしょうから、日本にワクチンが上陸するのはさらに遅くなってしまう可能性があります。

対症療法はいくらか判明してきてはいるものの、根本的な解決にはワクチンが不可欠です。

ワクチンが完成していない現段階では、まだまだ安心できる状況ではありません。

理由③ 医療資源はさほど増えていない

下記は、厚生労働省医政局が公表している世界の病床数です。

厚生労働省医政局(令和2年5月6日)「ICU等の病床に関する国際比較について」より

*1,*2, *3:米国集中治療医学会が作成した資料(U.S. Resource Availability for COVID-19(2020年3月)及び、その根拠となるDavidらの原著論文 (Crtical Care Bed Growth in the United States(2015年2月) )からの引用。なお、当該論文では、分母となる人口を20歳以上としているた め、全人口とした場合は、さらに小さくなると考えられる。

*4:ドイツ、イタリア、フランス、スペイン、英国については、日本集中治療医学会の理事長声明(2020年4月1日)で引用されているRhodesの論文 (2012年)から一部を抜粋。なお、当該論文では、ICU病床数として、各国の公式情報等を元に作成したとの記載があるが、それぞれの 病床の定義は明確になっていない。ただし論文中に、「新生児集中治療病床(NICU)、小児集中治療病床(PICU)、冠疾患治療病床 (CCU)、脳卒中治療病床(SCU)、腎疾患治療病床は除いた」との記載がある。このため、日本の病床数を計算する際には、それぞれの 病床数は、含めずに計算を行った。

*5:日本集中治療医学会の理事長声明(2020年4月1日)で引用されているN.Shimeの論文(2016年)から一部を抜粋。
*6:内野, 我が国の集中治療室は適正利用されているのか,日集中医誌(2010;17:141-144) から一部を抜粋。 *7:日本については、特定集中治療室管理料(5211床)、救命救急入院料(6411床)、ハイケアユニット入院医療管理料(5412床)の合計数を記載。

※厚生労働省医政局(令和2年5月6日)「ICU等の病床に関する国際比較について」より

上記の国際比較から見ても分かるとおり、日本も医療資源が潤沢なわけではありません。

現時点でも各都道府県知事は病床数の確保に邁進しており、医療資源確保を積極的に行なってはいますが、再度コロナの波が押し寄せて感染者数が急増した場合は、いつでも医療崩壊が起こりうる可能性があります。

コロナを正しく恐れよう

以上、3つの理由がまだまだコロナが終息したとは言えず、安心しきってしまってはいけない理由です。

ですが、新型コロナを恐れるあまりに経済を停滞させるのではなく、敵を正しく理解し、正しく恐れ、適切に行動することが求まれます。

免疫力を落とさないように栄養のある食事を摂り、不特定多数の人が集まる催しなどに行く際は感染防止を心がけ、洗っていない手で物を食べたり顔を触ったりせず、手洗いうがいを今まで通り励行し、睡眠をしっかり摂る。

こういった基本的な行動こそが、コロナを正しく恐る適切な行動なのでは無いでしょうか。

マスクをしていない人を罵倒したり、開店しているお店や催し物に脅迫まがいなクレームを入れたりといったような、いわゆる自粛警察と言うような行動は慎み、お互いに助け合って気を配り合う、助け合いの精神で乗り越えていきたいものです。

また、体育の授業でマスクをしたり、闇雲に人と距離を取ったり、経済を停滞させたりと言ったことはなるべく避けることや、「自分は大丈夫」と言ったような無根拠で過度な思い込みを捨て、適切な行動を心がけたいものです。

ソーシャルディスタンスで離れても、心は離れていない。

そう言ったことを、私は理想としています。

 

出典

NHK医療体制は大丈夫か(病床数と入院患者数)
Business Insider 「大規模な感染では集団免疫は生じない。ワクチンができるまでは検査と隔離を
日経メディカル 「厚労省実施の抗体検査、東京で陽性率0.10%
毎日ブロードキャスティングシステム(関西ニュース) 「6月末に全国初の知見開始へ『大阪発の新型コロナワクチン』大阪府と阪大などが進める』
厚生労働省 「新型コロナウイルス感染症について
厚生労働省 「新型コロナウイルス感染症の患者数が大幅に増えたときに備えた入院医療提供体制等の整備について(第2版)
森下記念病院 「BLOG第3回 新型コロナウイルス感染拡大で懸念される医療崩壊について


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