アフターコロナの世界観を考察

アフターコロナの世界って、どんなんだろう?

コロナウイルスが蔓延した世界に住み慣れてしまった雰囲気も漂う中、私たちは現在第3波と言える大きな局面に立っています。

緊急事態宣言や渡航制限など多くの制約が課された第1波をすでに超えているのにも関わらず、政府主体の「Go To」事業も手伝って人々の往来は一層多くなっているように見受けられます。

経済を停滞させないことも非常に重要なことですし、人あってこその経済ですから感染を抑止することもそれ以上に重要です。
その2つを天秤にかけることが難しいのは確かです。

1つはっきりしていることは、コロナによってこの世界が大きく変わりつつあることです。

今回は、コロナによって変わった世界(および今後の世界)、いわゆるアフターコロナの世界観について今ある事実に基づいて考察します。

目次

加速するデジタル変革

アフターコロナを語るには、まずは現在の情勢を把握しなくてはなりません。

コロナウイルス後(もしくはWith-コロナ)の世界は、もう今まで通りの世界では無いかもしれないのは、みなさんも予想していることと思います。

ワクチンが完成して普及しようと、以前の世界には戻りません。
今回のパンデミックの影響によって世界経済ですでに進行中の多くのトレンドが加速していますが、特にデジタル経済は顕著であり、リモートワーキング学習遠隔医療配信サービスなどの事業が急成長を遂げています。

デジタル化がさらに進めば会社に出社する機会も減るでしょうし、会議などもリモートで完結します。政府が推し進める脱ハンコも追い風となり、多くの企画書決裁や合議などがオンラインで円滑に進められると考えられます。

遠隔医療はまだまだ発展途上ではありますが、コロナウイルス感染者のうち、比較的軽症者が自宅待機(もしくは簡易宿泊所など)されている場合、オンラインで医師にアクセスできる技術が今後当たり前になっていくのではないでしょうか。

実のところ、軽症者とは言え新型ウイルスに感染しているわけですからできることならしっかりとメディカルケアを施したいところではあるのです。
しかしながら医療現場のキャパシティ的にも、軽症者は入院させられない状況になっているだけです。だからこそ、遠隔医療をより進歩させ、自宅待機者なども安心して医師の問診を受けられる体制は今後整っていくと考えられます。

こうして遠隔医療がさらに発展していけば、おそらくは日常的に遠隔医療が取り入れられ、在宅医療の延長でも使用できるのではないでしょうか。

また、遠隔医療であれば国境を超えた診療も可能なことから、医療を受ける側の人の選択肢も広がるかもしれません。

こうしたデジタル変革は国内の進化にとどまらず、国境を超えたデータフローのさらなる起爆剤となり様々なビジネス・医療・サービスの構造変化を加速させると考えられます。

よって、アフターコロナではデジタル的に進化した世界が訪れる可能性が高いと言えます。

サプライチェーンの地域化

アフターコロナの世界では、サプライチェーンの地域化も加速すると思われます。

と言うのも、コロナウイルスにより貿易が制限され、物流も大打撃を受けました。
特に国際的なサプライチェーンを持つ企業は、不足とボトルネックの対処に苦慮したことでしょう。
物流以外にも、コロナウイルスによって企業は経営戦略の大きな見直しを迫られています。

格安賃金で労働者を雇える海外工場などから仕入れることを辞め、国内製造へとシフトする会社も増えています。結果的に輸出入が制限されても安定して自社商品を供給できるようになります。

世界を代表するコンサルティングファーム、マッキンゼーアンドカンパニー(McKinsey Global Institute)でも、コロナ危機がもたらすサプライチェーンの構造変化の1つに「国内・地域への回帰」を挙げています。

こうしてサプライチェーンの地域化(リショア)が進んでいき、「海外の安い製品」よりも「国内の安心できる製品」へと消費者のマインドも変わってきているように感じます。(シャープ製マスクの人気などが例として挙げられます)

コロナ事情以外にも、米中摩擦などの地政学的な要因も相まり、リショア(生産の拠点を国内に戻すこと)は今後さらに進むと推察できます。

しかしリショアが進み自国内で製造するようになったとしても、残念ながらほとんどがロボット・AIを主体として自動化されるでしょうから、そこまで多くの国内雇用を生み出すことには繋がらないかもしれません。

アフターコロナではこうしたサプライチェーン の変化にも注視すべきです。

職業の自由化

アフターコロナの世界では、職業の自由化がより一層進んでいることと思います。

デジタル変革がおこなわれ、リモートワークが進むことで会社に拘束される時間が減り、自己研鑽や副業など今までなかったオプションがさらに選べるようになることが予想できます。

事実、運行数が相当数減って乗務員の乗務時間が減った全日空(ANA)では事実上の副業を認める方針を新たにしました。その他、大手銀行なども副業を許可するなど、副業認可の潮流はより強くなっています。


そして以前に別の記事でも取り上げましたが、週休3日制の注目度も上がってきています。

こうして仕事の選択肢が増えていく一方で、ギグワークの増加、労働者の職業の移行に適応する必要性など、職業の自由度が上がり時間的負担が減る一方で、収入の二極化が懸念されます。

また在宅勤務は少なくともオフィスでの勤務と同じくらい生産的であることを裏付ける証拠が上がっていてもなお、リモートワークを受け入れることに消極的な企業は非常に多いです。リモートワークがより一般的になることを願うばかりですが、まだ少し時間はかかるかもしれません。

団結してウイルスの危機を乗り越える

アフターコロナの世界では、団結力が増した世界が訪れていてほしい、と言うのが希望です。

コロナウイルスは日本のみならず世界経済に永久的な爪痕を残し、恒久的な変化を引き起こしました。

こうした変化は技術の進歩だけでなく、健康と安全に対する新たな配慮と試みの結果であり、人類の大きな成長過程となります。

9-11以降にセキュリティ対策が強化されたのと同じように、ウイルススクリーニングやソーシャルディスタンスなど今や私たちの生活の一部となってしまったものが今後当たり前になっていく可能性があります。

まずはワクチンの完成、そして今後また未知のウイルス発生を検出するために必要なインフラストラクチャへの投資が大切と言えます。しっかり投資を行っていけば、ワクチン摂取によって得た免疫が一時的だった場合でも、経済を保護することができるのではないでしょうか。

コロナウイルスから私たち人類が得た最も重要な教訓は、協力して取り組むことの重要性ではないでしょうか。団結して未知のウイルスに打ち勝ち、新たな経済の形を模索していかなければなりません。

アフターコロナの世界では、各国・各機関が協力して物事に取り組む世界が訪れていることを祈ります。