週休3日制のメリットとデメリット、導入例も紹介

2020年は波乱の幕開けとなりましたが、各部門でリモートワーク(テレワーク)オンライン会議交代制勤務など、職場環境が目まぐるしく変化しました。

日本ではまだまだテレワークの実施率も全国平均27%(※LINE調べ:テレビ朝日ニュースより)と世界と比較するとまだまだ物足りない実施率ではありますが、変化は見られています。

※全国平均27%となっていますが、LINEが実施した調査では15歳以上を対象としており、そもそも就労していない人やもともと通勤を必要としていない人たちも調査対象に含まれている可能性があるため、実際の数字は少し上下する可能性があります。(25%〜40%)というのが、各調査機関や報道による数字となっています。
※東京都でのテレワーク実施率は49%(出典:株式会社パーソル総合研究所)。

そんななか、再度注目を浴び始めたキーワードがあります。

それは、週休3日制

5月14日に経団連が公表した「新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」の中に、テレワークの継続の他にも、週休3日制の導入が挙げられています。

ほとんどの企業で週休2日制を採用している我が国では斬新な取り組みと言えますよね。(週休2日あるだけでも羨ましいと思われるほど)

さて、そんな週休3日制って一体どのようなものなのでしょうか。

目次

「週休3日」はもともとヨーロッパなどでは注目されていた

週休3日と聞くと、私たちにはとても斬新なイメージが第一印象としてあります。

しかし、実はBC(ビフォア・コロナ)からすでに注目はされていたんですね。

ここ数年、ヨーロッパなどでは「週休3日」への注目度が高まっていました。

きっかけのひとつは、2018年にニュージーランドのある会社が2ヶ月の実証実験を行い、その結果を公表したことです。実証実験では生産性の向上や社員のエンゲージメントの向上、プライベートの時間の充実といった効果が見られ、同社は公式に週休3日を制度として取り入れることとなりました。

ここから週休3日の可能性が世界的な議論になり、イギリスでは労働党が去年末の総選挙における公約のひとつとして週休3日の導入を掲げました。労働党は大敗しましたが、二大政党の一方が真剣に検討するほどに身近なテーマなのです。

また今年のはじめには

フィンランドのサンナ・マリン新首相が週休3日を指示していることが話題になりました。これは公的な政策ではなくあくまで個人的な考えだということですが、フィンランドは労働者の働きやすさを向上する施策を積極的に取り入れてきた国ですから、週休3日も非現実的な話とは言えないでしょう。

やつづかえり(著)「経団連『コロナ対策で週休3日の検討を』給料や働き方にどう影響?」(Yahoo!ニュース 2020/5/15)

「週休3日」のメリットとデメリット

週休3日制のメリット
・休日が増え、ワークライフバランスが良くなる。
・仕事に充てる時間が減ることで限られた時間の中で仕事をする必要があり、集中して仕事に取り組める。
趣味や遊びに費やす時間が増え、人生が充実する。
・通勤時間が減り、感染症などの罹患リスクを軽減できる。
・増えた自由時間を自己啓発などに充てることができ、業務内外でのスキルアップを図れる。
週休3日制のデメリット
・担当者不在の日が増え、取引先や職場内でのコミュニケーション不足が危惧される。
・必ずしも全員のパフォーマンス向上が期待できるわけではなく、業務が停滞することも考えられる。
・業種や業態によっては生産性維持のために人員の補充が必要になる場合がある。
・家にいるよりも仕事に行っている方がラクだと感じる人もいる(休日がストレス)。
・休みが1日増えることで収入が多少減ってしまう可能性がある
・勤務日の時間内に仕事が終わらせられなくなり、結果的に残業や休日出勤などが増える可能性がある。

こうしてメリットとデメリットを見比べると、デメリットの方が少し多く感じる上に、ダメージが大きそうな気がしてしまいますね(汗)

ですが、担当者1人に全てを任せるのではなく、ワークシェアを積極的に取り入れて数名で情報共有をし、誰でも対応できるようにしておくことも今後の会社運営では必要なことなのかもしれません。

従業員を増員してしまっては話が変わってしまいますが、もしも人数をそのままで週休3日を取り入れることができれば、各従業員が決まった日に休みを取るのではなく、自由に取得できるようにすることが実現できれば、7日間毎日誰かしらが仕事をできる可能性もあり、この場合だと会社としての生産性は上がるかもしれません。(土日に完全ストップということが無いため)

また、その場合だと1日あたりに勤務する従業員が減るので密を避けることができ、感染症対策などにも大いに有効なのでは無いでしょうか。

「週休3日」をすでに導入している企業

ヤフー株式会社
(育児・介護・看護を担う人を対象に導入)

日本最大級のIT企業であるヤフー株式会社(Yahoo!JAPAN)では、育児、介護、看護など家族のサポートを必要とする従業員を対象に、週休3日制の働き方を選べる「えらべる勤務制度」を導入しています。
この「えらべる勤務制度」は、月単位で働く曜日の変更や週休2日制への復帰なども行えるのが特徴です。そのため、例えば小学生が夏休みとなる8月の間だけ週休3日制を選択するなど、従業員の家庭事情に合わせた働き方もできます。

株式会社パープル まもりの種 「週休3日を導入するメリット・デメリット。企業の狙いと事例を紹介!

ファーストリテイリング
(どんなニーズでも選択可能)

国内大手の衣料品メーカーであるユニクロを運営するファーストリテイリングでは、1日10時間×土日を含む週4日勤務という形態での週休3日制度を導入しています。1週間での労働時間は40時間となるため、週休2日制のフルタイム勤務と給与体系は変わりません。休みの日は平日に週3日もらえます。親の介護をしている人、夫婦共働きで育児を担っている人、自己啓発のための語学学習に取り組んでいる人など、週休3日制を選んでいる従業員の同期はさまざまです。

株式会社パープル まもりの種 「週休3日を導入するメリット・デメリット。企業の狙いと事例を紹介!

日本マイクロソフト株式会社
(社会的な取り組み)

世界最大級のソフトウェア開発・販売会社であるマイクロソフト社の日本支社である日本マイクロソフト株式会社では、2019年の夏、働き方改革の一環として「ワークライフチョイス」という自社実践プロジェクトを実施しています。このプロジェクトでは、週勤4日・週休3日制トライアルを行い、大胆に2019年8月の全ての金曜日を休業日とし、この日は正社員全員が特別有給休暇を取得することとしました。つまり、8月は週休3日制であるにもかかわらず、給料は週休2日の時と同水準であるわけです。同社ではこの制度を2020年8月にも実施する計画を立てています。

株式会社パープル まもりの種 「週休3日を導入するメリット・デメリット。企業の狙いと事例を紹介!

佐川急便
(週休3日制のドライバー募集)

あなたにとって都合のいい働き方はなんですか。自分らしい働き方を選びませんか。休みを増やしたい人には、「週休3日」を提案。1日の実働は10時間ですが、月13日休み。趣味、家族サービスや、キャリアアップに向けた勉強など時間を贅沢に使えます。
育児や介護を頑張る人には、時短勤務や休日数の拡充で応援。子育てサポート企業として厚生労働省に認定されています(くるみんマーク取得)。
節約したい人には、寮(家賃月1~2万円)を提供。地方で働くIターンを希望する人には、寮・引越し費用・赴任時旅費・支度金を支給。
先々のキャリアを考える人には、公募制度で応援。本社勤務や人材育成部門、グループ会社の海外事業部などに異動できます。
あなたのライフプランに寄り添う働き方で、長く活躍できる環境・制度をこれからも提案していきます。

■週休2日の場合…
シフト制(7:00~22:00の間で実働8時間)
※勤務時間帯は営業所により異なります。

■週休3日の場合…
変形労働時間制(7:00~21:00の間で変動/平均実働10時間)
※勤務時間帯は営業所により異なります。

en転職 佐川急便の募集ページより
そのほか、週休3日制を導入している企業
・日本KFCホールディングス
・日本IBM
・株式会社サタケ
・株式会社ファミリーマート
・SOMPOひまわり生命株式会社
・大和ハウス工業株式会社
・味の素AGF株式会社
・ヤマト運輸株式会社
ほか

日本経済新聞によると、週休3日を導入している企業は国内に8%程度まで増えているということです。(出典:『週休3日広がる、導入企業8%に 大手に続き地方でも』)

勤務時間の課題も

給料が減らないように週休3日を採用しようとすると、1日あたり8時間×5日=40時間ですから、1日あたり10時間×4日間=40時間となるので、1日あたり10時間勤務をする必要があります。

午前9時に就業開始するならば、19時まで(厳密に休憩時間などを入れると、20時を超える)。

この計算だと、1週間あたりの所定労働時間は労働基準法など各種法律に抵触しませんが、1日あたりの労働時間は2時間の時間外労働が発生してしまうので、1ヶ月単位での変則労働時間制を採用するなど、企業の柔軟な考え方対応が必要となりそうです。(参考:多田国際社会保健労務士事務所「人事のための働き方改革サイト」)

1日あたり10時間労働としなくても、1日あたりの勤務時間は8時間に据え置き、給料水準も下げず、週休3日制の導入が可能になれば、実質給与アップ(労働時間対価が変わるため)と捉えられますし、従業員のモチベーションも上がりますよね。
もちろん、その場合は週休2日制は撤廃するなどしないと不公平になってしまいますが。

副業等各種規制の緩和も望ましい

1週間あたりの休みが増えると、自然と自己啓発の時間も増えます。

副業を許している会社も増えていますから、週休に副業をしてみる人もいるかもしれません。

副業をすることで結果的に「休み無いじゃん」と思うかもですが、本業とは違った職種を自主的に経験することは、スキルアップや人脈作りにとても役に立ちますし、リフレッシュにもなります。

ですが、会社側の各種規定や規則などを見直す必要性も出てきます。

話が脱線しましたが、あらゆる場面で色々な調整が必要になりますが、従業員のためだからこそ、実際に導入し取り組んでいる会社が増えてきているのでしょう。

「週休3日」では休み方改革も重要

序盤でメリットとして挙げた「休みが増える」わけですが、これを素直に喜べずに抵抗感を持つ人もいるのでは無いでしょうか。

とても残念なことですが、残業休日出勤休み無しで働くことが当たり前となってしまっていることに起因していると思います。

せっかく個人が自由に使える時間が増え、会社では得られないイノベーションを体験できるにもかかわらず、「家にいたく無い」や「休みはいらない」と思う人も少なからずいると思います。

おそらく、ずっと忙しく過ごしてきた日本人には「暇な時間」をどう過ごすかという部分において根本的に経験不足なんだと思うのです。

そういった従業員のサポート・ケアのための制度づくりも必要ですね。


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