コロナ渦で変わってしまったコンプライアンスと社員のフォローアップ

コロナによって出社頻度が減ったり、ミーティングや会合なども減り、社員間のコミュニケーションが減少している会社が多いのではないでしょうか。

コロナによって経済が不透明となっている今こそコンプライアンス論理的行動再認識が必要です。普段よりもインターネット回遊が増えていますからなおさら、報道沙汰に巻き込まれてしまうとその後の火消し作業に苦労しますし、インターネットを通して悪い影響を受けやすい時期といえます。

また、在宅勤務が増えることで社員間のコミュニケーションが減ってしまい、異変の早期発見が難しくなります。

今回のようなコロナ渦でも、不祥事防止の基本はコミュニケーションだということは変わりません。

現在の不透明な経済状況や絶え間ないネガティブ報道、潜在的な健康上の脅威・不安感に相まり、間違いなく社員に異変は起きているはずです。

先行きが不透明な状況下でも、社員には毎月の請求書は待ったなしに自宅に届く上に、食べさせてあげなければいけない家族も居ます。

学校、幼稚園、施設、パート先等が非日常のカリキュラムで回転しているため、感染防止に徹底しつつフルタイムの仕事をし、家事、買い物、子供のホームスクーリング、高齢の両親の健康不安の対応、等々積み重なるストレスは待っていてくれません。

こうしたストレスが社員に与える影響は看過できません。

社員の不安感がこれまで以上に高くなってしまわないよう、従来以上に社員とのコミュニケーションを密にし、ストレスチェックと不安を和らげるために可能な限りの措置を取ることが求められます。

では具体的にどのように社員と共通認識を図って行けば良いのか、見てみましょう。

コミュニケーションが基本ということは変わらない

何度も言いますが、コミュニケーションは基本です。

メーリングリストを活用して一括送信したり回覧を回すことは手っ取り早く、発出者と受領者双方の負担が軽くて済みますが、味気ないのも事実。
1つの手段だけにこだわらずに、可能な限り社員ひとりひとりと直接連絡を取る手法も取り入れるべきと言えます。

その時に、業務上の話だけでなく雑談を交えるなどして、社員の心身の異変にいち早く気が付けるかどうかが、重要なキーになります。

会社で毎日顔を合わせていた時期とは異なり、ただでさえコミュニケーションを取れる頻度が減っているわけですから、少しでも会話をする機会を増やしていく努力をすることで、会社としても「あなたを気にしている、あなたのそばにいる」と言った感じのメッセージを送れると思います。

毎回ではなくて良いのですが、時々ビデオセッションなどを通して顔を合わせるのも取り入れましょう。

もちろん、こうしたコミュニケーションの目的は「社員の個人的な変化に気が付く」ことです。業務の進捗状況やしっかり在宅で仕事をしているかどうかの確認を目的としていません。
※業務の進捗や勤務状況の確認も雇用主としては重要な確認ですが、かえってストレスを与えてしまう可能性もあるのでほどほどにしたいところです。

電話ビデオセッションでは、同じ言葉や伝え方をしても直接対面で会話を持つ時とは違った捉え方をされてしまう可能性が高まり、ミスコミュニケーションのリスクが上昇しますから、特に言動やトーンに注意を払いながらコミュニケーションを進めるように注意してください。

相談に乗る態勢をしっかり作る

コミュニケーションを通して、相談に乗れる態勢を明示しましょう。

従業員自身の健康、安全、家族のニーズが第一であることと、会社はいつでも相談に乗れるというスタンスをしっかり示してあげることが、従業員の安心感に繋がります。

人事担当者は、従業員支援プログラムや児童・高齢者介護、国や地方が行っている経済的支援策、自社の福利厚生など利用可能なすべてのリソースを必要に応じて示してあげられるようにもしたいところです。

そのためにも人事担当者は常に正確で最新の情報を部内で共有する必要があります。

コロナを転機にしてコアバリューを再認識

現在のパンデミックの原因や国境に関する憶測などが多数見聞きできますが、人種、国籍、民族や地元地域などを元に非難や差別することが適切ではないことを改めて明確にするチャンスと捉えましょう。

自らの企業はそういった差別を見過ごさず、論理規範や会社の価値観を共有できるようにしましょう。

人種や国籍、地元の地域などに係わらず会社は従業員を第一に考えて守る、というスタンスは崩すべきではありませんし、こうした危機に直面している今、正しい行動を会社自らとることで、社員からの信頼が厚くなり、危機を脱出してからも会社の力になってくれる社員が多くいるはずです。

人事評価制度や営業目標の柔軟な見直し

ここ数週間、アメリカを初め世界中の失業率が驚異的に上がっています

解雇や減給、ボーナス削減など社員の不安は募るばかりです。

このような状況で、以前の営業目標や人事評価制度の達成までのしかかってしまうとかなりのストレスになります。

できるだけ、このご時世でもある程度達成可能な目標値に変更したり、人事評価制度も柔軟に改定してあげることで社員のプレッシャーを和らげてあげることも、今は必要な時期ではないでしょうか。

そうすることで、社員のストレスを和らげられるほか、常識のレールから外れてしまうリスクも最小限に抑えることができます。

(目標達成できないから他営業の顧客を盗む、情報を盗む、売る、漏洩させる、など)

ピンチはチャンスと捉える

これらは雇用主として、人事担当としての立場や姿勢としてのほんの一例にすぎません。

この世界的な危機の真っただ中に、どのようにして社員を守るか。

社員を守ることは結果的に会社を守ることに繋がります。

この危機を機会に、既存のポリシーや手順等いままで手付かずだったものを見直す機会と捉えて、柔軟に対応をしていきたいところです。

最も重要なことは、会社のスタンスを明確にすること、コンプライアンスを説くだけでなく実践して見せることです。

論理、誠実さ、正しい情報、確かな対応態勢などを会社が見せることで、日ごろから伝えているコンプライアンスの説得力が上がるのではないでしょうか。

今、社員を守らなければ、コロナが過ぎた頃に、より難しい対応を迫られる危機に直面する可能性があります。


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